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カオスな京友禅 [模様師の日常]

昨今、京友禅のカオス度がかなり深まっていて、いったいどうなるんだろうと、和装業界の端くれにいる当方も注意深く見守っています。

そう、京友禅とはいったいなんだろう?
京友禅とは、宮崎友禅斉が確立した模様染めの表現技法であったのですが、昨今では「技法」だけでは説明が付かなくなってしまっています。

その理由の一つとして、「京友禅証紙」。この認証シールは、簡単に言えば、京都で染められた絹製品に貼れる認証シールです。模様的な制約は無く、技法的には伝統的な染色技法からインクジェットプリントまで含まれます。なので、京友禅とは、インクジェットで制作したモノも、正式な京友禅の着物になるわけです。

一般的な京友禅の着物と言えば、伝統的な技法で、熟練した職人が制作するイメージがありますが、このインクジェットプリントは違います。もちろん、誰にでも出来る技法では無いのですが、伝統的な技法ではありません。

今でさえ、京友禅の手描物と型染め物の区別が難しいというか、ややこしいというか、紛らわしいのに、有る意味、革命的な技法でもあるインクジェットプリントまでが「京友禅証紙」を貼れる状況だと、京友禅って何?のカオス度がより一層深まっていく気がします。

確かに、インクジェットによる染色技法は魅力的で、新たなる表現技法の一つ、当然、当方なんかも興味はあるのですが、この技法が「京友禅」というブランドを傷つける事にならなければよいと思っています。京都の人達が考えてる以上に、友禅や和装業界全体にたいして怪しいと思いつつある今、より紛らわしいというか、一般の方たちが誤解を与える可能性が増えるかもしれません。

大手の百貨店やきちんとした呉服店は、最近は生産者の表示や技法の明確化に正しい表記を求めていて、一般消費者に分かりやすく、そして信頼できる販売を心掛けていますが、そうじゃない所は、認証シールが貼ってあるから、伝統的な技法で生産した京友禅の着物だという可能性もあり、その着物がどういった技法で染められているのかを説明しなかったりします。当然、伝統的な技法とインクジェット染色だとコストは違うので、金額的には違ってくるとは思うのですが。

正絹の友禅染めのお着物は、決して安い物では無いですし、伝統的な技法で染められた京友禅として買ったお着物が、実はインクジェットで染められた物だと後から知り、京友禅だけじゃなく、友禅染、そして和装業界全体の印象を悪くならない事を願ってます。

尚、東京の友禅の組合では、組合自身に認証シールは無いのですが、経済産業大臣が指定した技術・技法、原材料で製作され、産地検査に合格した製品には、「伝統マーク」をデザインした「伝統証紙」が貼られます。こっちはある意味、融通か効かない認証シール(笑)でして「伝統的技法」にかなり拘っているので、東京手描友禅の組合が関わってる部分では、信頼出来る認証かと思われます。


mark_03.gif
伝統マークについては下記のアドレスにてご確認下さい
http://www.kougei.or.jp/


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タグ:京友禅
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コメント 2

yumi

はじめまして。(だったと思います。^^;)
着物は信頼できるお店、信頼できる方から買いたいと常々思っています。
信頼の証、確認できると安心できますね。覚えておきたいと思いました。
by yumi (2008-05-23 20:31) 

模様師

■yumi様
ほんと着物は信頼の出来るお店で購入が間違いないですね。ただ、信頼できるお店の見極めが難しくもあるのですが!?
by 模様師 (2008-06-24 10:24) 

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